<私>論理学による<私>論の形式化
     (2001年2月発表・2004年12月19日最終更新)

                        by 名本哲也

(1)<私>論理学の定義
<私>論を形式化するため、独自の<私>論理学を導入する。

・項の定義
W:「私」
Wn:<私n> (nは特定の自然数)
Wx:任意の<私>(xは、命題の内部で使われていない任意の自然数)
Wn(α):αの属性(身体、心など)を持つ<私n>
U(a,b):aとbから成る宇宙 (a,bは、Uを除く任意の項)

<私a>自体は属性を持たないが、<私a>と対応する属性が存在する。

・真理値の定義
1:真
0:偽

・命題の定義(a,b,cは、Uを除く任意の項)
W1□(U(a,b))−−W1は、U(a,b)を認識している。
 W1□(U(W1,W2))≡W1□(U(W1,W))≡1
 W1□(U(W2,W3))≡W1□(U(W,W))≡0

W1□(a≠b=c)
 −−W1は、aとbは異なり、bとcは同一であると認識している。
 W1□(W1≠W2=W)≡1
 W1□(W1=W2=W)≡0

W1□(U(a,b))⇒U(a,c))
 −−W1は、U(a,b)からU(a,c)への変化を認識している。
 W1□(U(W1(α),W2))⇒U(W1(β),W2))≡1
 W1□(U(W1,W2))⇒U(W2,W1))≡0

□(U(a,b))
 −−宇宙の外から、U(a,b)を認識している。
 □(U(W1,W2))≡□(U(W1,W))≡□(U(W,W))≡1
(Uの内容に関わらず、常に1)

□(a≠b=c)
 −−宇宙の外から、aとbは異なり、bとcは同一であると認識している。
 □(W1=W2=W)≡1
 □(W1≠W2=W)≡0

□(U(a,b))⇒U(a,c))
 −−宇宙の外から、U(a,b)からU(a,c)への変化を認識している。
 □(U(W1(α),W))⇒U(W1(β),W))≡1
 □(U(W1,Wx))⇒U(Wx,W1))≡0


(2)独我論の種類
1.独<我>論=<私>の独我論=存在論的独我論
・W2、W3は「存在」するが、W1とは違う。
W1□(W1≠W2=W3=W)≡1

2.普遍的存在論的独我論(造語)−−1と3の中間
・他者を知り得ない。仮に「存在」するとしても、<私>と見分けがつかない。
□(W1=W2=W3=W)≡1

3.独「我」論=「私」の独我論=認識論的独我論
・他人(の心)を知り得ない。(α、βを心とする。)
W1□(U(W1,W2(α))⇒U(W1,W2(β))≡0


(3)<私>に関する思考実験
・2種類の宇宙の比較
□(U(W1(α),W2(β),W3))⇒U(W2(α),W1(β),W3))≡0
□(W1=W2=W3=W)

W1□(U(W1(α),W2(β),W3))⇒U(W2(α),W1(β),W3))≡1
W1□(W1≠W2=W=W3)

W2□(U(W1(α),W2(β),W3))⇒U(W2(α),W1(β),W3))≡1
W2□(W2≠W1=W=W3)

W3□(U(W1(α),W2(β),W3))⇒U(W2(α),W1(β),W3))≡0
W3□(W1=W2=W≠W3)

・全宇宙において成立しているあらゆる事実をすべて記載した書物には、
 <私>は記載されない。
□(W1=W2=W3=W)≡1

・<私>が世界から消滅しても、誰もその変化に気付かない。
 その世界も変化しない。
W2□(U(W1(α),W2(β))⇒(U(W3(α),W2(β)))≡0

・<私>の属性がすべて(身体、心、空間)変化しても、
それに気付くことはない。
W1□(U(W1(α),W2(β))⇒(U(W2(α),W1(β)))≡0


(4)<私>の<存在>−−<奇跡>と<偶然>と偶然
・<私>が<存在>することの<奇跡>及び<偶然>
U(W,W,W)ではなく、U(W1,W,W)であることの<奇跡>

・<私>が特定の人物であることの偶然
U(W1(α),W,W)が、αであることの偶然


(5)2つの変質
・人間実在依拠型の<私>把握
(W1(α)=W2(α))≡1(実際は0)

・「私」概念依拠型の<私>把握
□(W1=W2=W3=W)≡1


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